*日常を化学する〜なぜ私たちの周りに酸素がなくならないのか〜

こんにちは、aokuookiku新シリーズ「日常を化学する」へようこそ。

このシリーズでは、日常の中のちょっとした「なぜ?」を、化学の知識をつかって解説していきます。

知識があるとないとでは、世界の見え方が違う、そんな体験の足掛かりとなればと思います。

今日のテーマは、「なぜ私たちの周りから酸素がなくならないのか」です。

使う知識は、中2、高1ぐらいです。

では、いってみましょう。

目次

はじめに

私たち動物は、名の通り「動く生き物」です。なぜ動くかというと、植物が自ら栄養分を作れるのに対し、動物にはそれが出来ず、栄養分を摂取する(食べる)ために、移動したり、獲物を捕らえたりする必要があるからです。

摂取した栄養分を、体内で燃やし、「動く」ためのエネルギーを作り出しています。この働きを細胞呼吸といい、ここで酸素が必要なため、呼吸によって体内に酸素を取り込んでいるわけです。

地球上にある酸素を、動物が使い二酸化炭素を排出し、この二酸化炭素から植物が光合成の働きで酸素を作り出す。

この循環で、地球上の酸素と二酸化炭素のバランスを保とうしています。

本題

というわけで、エネルギーを作り出すのに必要な酸素は、植物が生成し、空気中に排出しています。

ではなぜ、その酸素は植物の周りにとどまっていないのか、酸素を消費し続けている動物の周りから無くならないのか。

教室は、人ばかりで植物はないのに、酸素がなくなり、息苦しくなったりしないですよね?

なぜか気になってきました??気になってきましたよね?

では、勉強していきましょう。

粒子の振動

物質を構成している粒子は、常に振動しています。

この振動を熱運動といい、人の目には止まって見えるえんぴつや消しゴムも、それを構成している粒子は、小刻みに揺れています。

振動が細かすぎて、人間には認識できないだけです。

この「熱運動の激しさ=物質の温度」みたいなもので、

温度の高いものは、構成粒子が激しく振動していて、低温のものはその振動が小さいということです。

※振動が極限まで小さくなると、粒子が止まります。

このときの温度を絶対零度と呼び、約−273℃です。

この温度では、すべての粒子の振動が止まっているので、

これ以上に温度が下がることはありません。(世の少年少女よ、−300℃という温度はないのだぞ!)

拡散

粒子は熱運動しているので、ずっとその場にいると、

隣の粒子とぶつかり続けるということになります。

それを解消しようとして起こるのが拡散という現象です。

満員電車を想像してみてください。

この電車に、新しい車両がくっつくと、人はどう動くと思いますか。

こう動きますよね。自然の物質も同じです。

光合成によって排出された酸素は、お互いに熱運動しているため

そのぶつかり合いを解消するために、拡散します

だからこそ、植物の近くに留まっておらず

地表にまんべんなく存在し、私たちの周りに植物がなくとも

息苦しくなったりしないわけです

これが、なぜ私たちの周りに酸素がなくならないのか。の答えです。

エントロピー(乱雑さの具合)

少し発展的な内容で、エントロピーという言葉を紹介しておきましょう。

エントロピーとは、乱雑さの具合を表す値です。

物質が1箇所に整頓されている乱雑でないエントロピーが低い

物質が空間に不規則に散らばっている乱雑であるエントロピーが高い

と表現します。

自然現象は、多くの場合、このエントロピーが増大する方向に変化していきます

今回のテーマである酸素も、植物の周りに留まっている(エントロピーが低い状態)よりも、広い空間に散らばっていく(エントロピーが高い状態)方に変化しています。

この理論は、多くの自然現象を説明する重要なキーです。ぜひ頭に片隅に置いて生活してみてください。

自然を支配している法則って、意外に多くないんですよね。

今回はここまでです。

また、一緒に勉強しましょう!

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